デザインと素材を考える
「いつか自分が手づくる石けんを販売することがあればパッケージデザインを絶対にお願いしよう!」ずっと温めてきた想い。大阪府に本社がある㈱羽車さんの紙へのこだわりとシンプルなデザインセンスがとても好きです。これまでもカード等の紙ものや「グラシン紙」のパッケージファイルなどもこちらでお世話になっています。環境に配慮した紙素材や端材のリサイクル紙を積極的に使ったり、販売できない紙を幼稚園などへ寄付されていたり、環境負荷の少ないインク溶剤や薬品や廃液の無い印刷技術を用いるなど環境マネジメント体制も素晴らしい会社です。今回の打合せでも、私の想いやこだわりをしっかりと受け止めて下さりプロのアイデイやセンスもたくさん頂けました。さらに試作後のこちらのmm単位の微調整の修正要望なども快くご対応下さり、とても素敵なパッケージに仕上げて下さいました。
紙とプラスチック
おうちで作る石けんはグラシン紙や冷蔵庫などでの保管をお伝えしていますが、市場に流通させる化粧品となると環境負荷を考えた包装だけでなく、長期保管・温度湿度対策など製品としての劣化防止・使い手への安全性も考える必要があります。
ゴミ問題と聞くと、今の世情では「プラスチック」はゴミ問題の諸悪の根源であり、「紙」は環境負荷も無く良いゴミのイメージがあります。でも深く学ぶと実際のところ「紙」ほど解り難いゴミは無いと感じています。
まずプラスチックゴミは、2001年からはその科学的知見に基づいて法改正され完全焼却されておりプラスチック単体を燃焼してもダイオキシン等の有害物質は発生しませんし、石油からできているプラスチックは短時間で良く燃えるので燃焼するコスパは優れています。石油資源やCO2排出、海洋ゴミへの取り組みとして生分解性プラスチックや3つのリサイクル、プラスチックゴミ輸出規制などを早急に取り組んでいます。
そして紙ゴミですが、純粋な紙は資源ゴミとしてリサイクルが可能です。しかし紙マークがあれば資源ゴミとして捨てれるわけではありません。紙マークがついているものの中にはプラスチックが混ざっているものも多く、混ざっている割合で「紙」か「プラ」のマークを付けるシステムです。実は50%までならプラスチックが混ざっていても紙マークを付けれます。もちろんプラスチックが混ざっている紙は資源ゴミではなく燃えるゴミの生ゴミ等と同じ扱いになります。でも実際は紙マークしかなく、何%プラスチックが混ざっているかは消費者にはわからず捨てる際に迷うことも多いです。ここは今の世情に沿ったイメージ戦略なのかなと残念に思います。そして石けんを包むのによく使われている耐油・耐水性のあるグラシン紙やワックスペーパーも、紙マークがあっても資源ゴミには出せません。そもそも純粋な紙であっても石けんのように香りのあるものを直接包んでいたり、スタンプインクが押されたものもリサイクルはできず資源ゴミとして出せません。結果、燃えるゴミ(生ゴミ・プラゴミ)として焼却するしかありません。
そして生ゴミを含む燃えるゴミは実はプラスチックより燃焼の環境負荷が高いゴミです。およそ80%が水分といわれる燃えるゴミはなかなか燃えず膨大な化石燃料を必要とします。長時間の燃焼だとCO2も大量に発生しますし低温燃焼となると有害物質が発生するので実は燃えやすいプラスチックをくべて燃焼を助けてもらっています。生ごみだけなら土壌で生分解し地球に還すことも可能ですが、日本ではまだ各家庭でのコンポスト活用レベルで先進国の中でも大きく遅れています。台湾やスウェーデンをお手本に生ごみのリサイクルを進めて欲しいと願います。
包装素材を決める
最終的には、環境負荷、使い手の安全、贈り手の想い、譲れないすべてを織り込んだ包装素材を選びました。石けんパッケージには、森林認証紙・再生紙70%・無塩素漂白の紙資源としてリサイクル可能な外箱と、石けんが直接触れる内包装は半分紙を使ったガス袋にしました。ガス袋はプラスチックとなりますが真空包装できるので油脂を含む石けんの酸化を防ぎ、製品の劣化や使い手のお肌の安全を守ります。また、宅配で発送する際の梱包素材はFSC認証のダンボールとオカモトの「環境想いクラフトテープ」を使用しますので資源ゴミとなります。同梱の紙ものも、発注する毎に世界中の土地に1本植樹をしてくださる印刷会社さんにお願いすることにしました。
また贈る際の紙袋の他に、国産リネン100%のハンカチもご用意しました。化学薬品などを用いず丁寧な国内縫製なので、贈る包み布として役目を終えた後は、手や顔用のハンカチとしてリユースしていただければと思います。繰り返し洗うたびにお肌に馴染む柔らかな質感となります。
ゴミやリサイクルの問題は、まだまだ前向きに世の中が動いていく市場なので、常に情報を仕入れその時々に考え最善の選択が出来るよう努めていきたいと思っています。