パーム油のこと。

今日は少しまじめなお話をします。

このコロナ禍で進んだオンライン化のお陰で、最近は隙間時間を活用して色々な講座にzoom参加しています。先週は前から見たかったドキュメンタリー映画『SEED~命の糧~』を見て色々と考えさせられました。




今日はコープ自然派さんのオンラインイベントにて植物油主にパーム油問題についてのお話を拝聴しました。“ウータン・森と生活を考える会”の石崎さんが今現在のパーム油の現状・問題点・取り組みなどを良い面も悪い面も含め、真実を丁寧に明確に伝えて下さいました。また現地ボルネオでNGO活動に取り組んでいる青年リヌスさんがLIVE中継でお話くださり、まさに今のボルネオとパーム油の現状をリアルな映像と生の声で聴けたことは本当に有意義なことでした。ネット情報や政治的な圧力のある記事ではなかなか私たち消費者は真実を知ることができません。オンライン講座への参加者は70名を超え過去最高人数とのことで、真実を知りたいと思う消費者の関心の高さが伺えます。

我が家ではほとんど外食はしません。買い物をするときも“植物油”表記のあるものはほとんど買いませんし、市販のシャンプーや洗浄剤も購入しません。
もちろん無意識に取り入れているものは避けようがありませんが、選択肢が見えるものは極力気にかけて暮らしています。
石けんを作る油脂も6年位前からパーム油を使用しなくなり、3年前からはLessonでも使用しなくなりました。どうしても含まれているものを使わないといけない場合はボルネオ環境保護団体への寄付金で森へお返ししています。

石けんをキチンと学ぶ【石けん・こと始めの會】を始めたのもパーム油やその他の油脂問題を伝える場や一緒に考えてくださるソーパーさんを募りたかった所もあります。
Mauruuruではパーム油の代わりに硬さを出す油脂としてよくラードも使用します。ラードを使用するというと「臭い」とか「豚が可哀そう」とか「植物性の方が身体に優しい」などという意見もあります。

でもだから使わないではなく、臭いが気にならないよう処方や作り方を工夫したり、普段豚を食すなら廃棄物のラードまで利用することが真の命をいただくことだとお伝えしたり、人間は雑食の動物だからこそ動物性の方が肌に合い優しくケアできる正しいエビデンスをお伝えしたり・・・
良い面悪い面を正しく伝え理解して頂き、“あらうを手づくる”ということを広い視野で捉えることが出来る賢く知恵のあるソーパーになって欲しいと思っています。

今回のオンライン講座ではRSPO認証パーム油のことで参加されている太陽油脂の社員さんがその現状や見解を問われる場面もありました。結局の所、「安価で安定した供給が出来る使い勝手の良いパーム油だから使用している」のが答えです。私個人的な見解としては、RSPO認証だからたくさん使ってもよいという考えには反対です。
日本でのオリンピック開催決定の時期から一気にRSPO認証制度に加盟する日本企業が増えました。オリンピックで世界的な視線が集中する中「No! Palm」意識の高い欧州諸国の目を気にした動きと思えてなりません。ビジネス的な目線はそのまま石けん教室の運営にも同じことが言えます。程よい硬さと程よいしっとり感で沢山配合出来るパーム油は材料コストを抑えることができ利益に繋がります。私が3年前にパーム油をLessonで使用中止するときも経営者としては少し悩みましたが、Lesson料の値上げを決断しました。理解が得られる方にだけお伝えして行こうと決めたからです。

また、「パーム油を使わなくなれば現地の人の仕事が無くなる」という声も聞かれます。そこは私もとても関心があった所です。そこも今日しっかりお話を聞けました。確かにそのような考えも一理あります。しかしボルネオで実際にパーム油を作っているのは日本などの先進国の伐採のせいでそこに住めなくなった原住民や他国から連れてこられた貧しい家族労働者が多数です。パスポートを取り上げられ低賃金で熱帯気候の中20㌔もの実を運び何時間も家族で強制労働させられ、学校に行けない子供もいます。私たちがパーム油を使うことで幸せに暮らしているとは到底思えません。こういった現状を変える取り組みとして、パーム油というモノカルチャー経済に頼らない、国力を上げる活動が始まっています。珈琲や果樹など30種もの在来種を育て苗や食物をお金に換えることで、原住民の食と暮らしを支え豊かにし森の命の循環を支えるアグロフォレストリー(森林農法)が実践されています。
さらにNGOの取り組みの一つとして、ボルネオのこれからを担う大学生などへの環境教育も行われており、パーム油農園を辞める若者も増えているそうです。
しかし、「いまだ毎日毎日森林破壊は行われていて、まだまだ伐採される森が決定している。」と現地のリヌスさんは仰っていました。


また、パーム油プランテーションが加速する中で一番の被害者はそこで暮らしていた生物です。とくに絶滅危惧種のオランウータンはすでに半減しています。“森の人”と云われるオランウータンは人間と96.7%もDNAが同じ極めて人間に近い生物ですから、やはりヒトと同じように長年子を育てて命をはぐくみます。しかし森を失いプランテーションに侵入したオランウータンは害獣として殺され、母を失った子供もまた生きていけずに死んでしまうか捕えらえれ売られてしまいます。運よくNGOに発見され保護された子も帰る森がありません。

そんな人間と友達みたいなオランウータンの命と引き換えにしてまでパーム油を使おうとはどうしてもなれないのが私の今の気持ちです。いつか本当の意味で生物多様性や命の循環が戻るその日まで、私が出来ることを続けていこうと思っています。
思い悩み訴えるだけでなく、今後はさらにきちんと目に見える活動にしていこうと色々な視点から前に進めています。前向きで明るく楽しいお知らせが出来るよう頑張ります。

先日NHKで放送されたドキュメンタリーが今日の深夜に放送されるそうです。
オランウータンやボルネオ環境問題に興味ある方はご覧下さいね。

【NHKスペシャル:オランウータン いのちの学校】
 NHK総合 深夜0:30~

 

近年は10月でもまだまだ育っているバジルたち。
このホーリーバジルも本来日本では育ちにくい品種なのだけど、まだまだすくすくと成長中。これも温暖化の影響かな…


講座後はしみじみとそんな考え事をしながら、このホーリーバジルでガパオライスを作りました。ナンプラーの香りが食欲をそそります。



今頃、娘もガパオ弁当食べてるかな♪